前を向くために Part3

プログラミング、音楽、外交問題、その他思いついたことを何でも公開

人生、前向きに生きたいもの。でも、何かと後ろ向きになりがちな自分がいるのです。前向きに生きるには、まず前を向かなければなりませぬ。じゃあ前を向くためにはどうしたらいいの?と日々悩んどります。これはその記録の一部です。

東京大学と日立製作所

タイムシフトで録画しておいた たけしのニッポンのミカタ!〜東大ってなんだ?あなたのしらない東京大学〜 を観たんだけど。

まあ内容は別にいいとして、大宮エリーさんの最後のコメントが

三バカのひとりは日立製作所で研究者になって、ひとりは物理学者になって...(中略)...東大生は一化けしたりする人がいる

と言っていたのをみて、思わず笑ってしまったのだ。どうやら大宮エリーさんにとって、日立製作所で研究者になることは「バカが化けて成功した」ということになるらしい。

いやそれは違うだろwと、思わずツッコんでしまった。

東大を卒業して、ちょっと寄り道して修士まで取ってから、日立製作所に入社した人間が言うのだから、間違いない。

東大を卒業して日立に入った人に怒られるのを承知で、はっきり言わせてもらえば、東大を卒業して日立製作所くらいの会社に入るのは、東大卒を上半分と下半分に分ければ、下半分のほうだと思う。どういうことかというと、こういうことをやってみればよい。

  1. 東大卒が入社した会社について
  2. 東大卒社員の卒業成績の平均点を企業ごとに計算して
  3. 企業に順位を付ける

そうすると、日立製作所はどの辺りにランクインするだろうか。僕の見立てではおそらく、

  1. 東大卒日立製作所社員の平均点は東大卒全体の平均点よりも低く
  2. 日立製作所は企業ランキングの下半分に入る

と思う。「下半分に入る」というのは、そういうことである。探していないけれども、もしかしたらそういう統計がどこかにあるかもしれない。東大生にとって、日立製作所は決して入るのが難しい企業ではないと断言していいと思う。なお、僕以外の東大卒日立製作所社員の名誉のために添えておくと、これはあくまで平均であって、東大卒にも当然トップもいればビリもいるのである。そのトップが日立製作所に入っても、おかしくはない。日立製作所というのは、何しろでかい会社なのである。Yahoo!ファイナンスによると、単独ランキングでは5位連結ランキングでは2位である。

話は東大の話なので、元に戻るが、あるいは、ちょっと見方を変えてみようか。

うんとわかりやすく言うと、日立製作所くらいの会社に入りたかったら、大学はとりあえず東大に入っておけば、よほどの事情がない限りは、入ろうと思えばたぶん入れる、ということは、言えると思う。 東大卒なんて、ろくなもんじゃねぇな と言われることは多いけれども、東大卒というブランドにも、まだその程度の威力はある。これは日立製作所に限らないと思う。東証なんかに上場している大企業なら、たぶん一般化できるんじゃないだろうか。外から見ていると、中小の先鋭的な企業に入るほうが、よっぽど難しそうだ。

これは、大企業には大企業の論理があり、中小企業には中小企業の論理があるからなのである。大企業は、なぜ東大卒を採用するのか。それは、実は彼らは「東大卒」を採用しているのではなく、「東大入学者」を採用しているのだ、と言えば、わかりやすいだろうか。つまり、簡単に言うと、日本で一番入るのが難しい大学に入るだけの頭と体があったから、ということだ。東大入学者の中には、本当にとんてもない人がいて、勉強しなくても東大に入ってしまう人がいるものだが、それはごく一部。番組中、草野仁さんも言っていたけれども、だいたいの人は、それなりに勉強しているのである。つまり、努力しているのである。努力して勉強して、東大に合格し、入学するのである。勉強は当然頭を使うけれども、頭だけでできるものではない。時間も体力も必要だ。東大入学者は「今は勉強に打ち込む時だ」ということをちゃんと理解し、そして本当にちゃんと時間を費やして勉強に打ち込める人なのだ、ということの証明とも取ることができる。大企業の採用担当部門は、そこを見ているのである。つまり、「がんばらなければならないときにちゃんとがんばれる人」が欲しいのだ、彼らは。「できる人」「頭のいい人」が好ましいのではあるけれども、最重要事項は、「組織の中で歯車として機能する人」なのである。企業というのは、どんなポジションにいても、上にも横にも下にも人がいるのである。企業が大きければ大きいほど、その人数は多い。それはもう好むと好まざるとに関わらず、大企業の社員は常に歯車のひとつなのである。歯車として、なるべく良い歯車が欲しい。良い歯車とはどういう歯車か。良く回る歯車である。良く回る歯車とは、ギザギザが揃っている歯車である。一部が尖りすぎていたりへこみすぎていたりするのは良い歯車とは言えない。だから、そういう「尖っている人」は、大企業ではうまく行かない。

ここで別の記事を紹介しておこう。遙洋子さんが日経ビジネスに寄稿している記事だ。

空気ばかり読んでいると、空気しか読めない人間になる

遥さんの言う「空気しか読めない人」こそが、実は大企業で成功する人なのである。空気を読まない人、読めない人は、大企業に向いていない。研究職として大学に残るか、あるいは起業するか、そのほうが向いていると思う。大企業では、いくら「リーダー」になったところで、そのレベルの「リーダー」は他にもたくさんいるのである。日立製作所の例で言えば、新入社員はやがて育ち、「主任」となる。しかし、課(グループと言うことが最近は多い)には何人も「主任」がいる。そして「課長」つまり「主任技師」がいるが、これまた主任技師は部内に何人もいる。「部長」になったところで、本部内には「部長」が何人もいる。そして「本部長」は事業部には何人もいて、「事業部長」となればかなりの出世だが、それでも「事業部長」は日立製作所に何人もいる...トップは社長となるが、社長にもまた会長がおり、相談役つまり歴代の社長がおり、きりがない。これが大企業というものだ。僕は遥さんの記事をいつも楽しく読ませてもらっているが、遥さんにシンパシーを抱く人は、たぶん大企業ではうまくやっていけない、と僕は思うのだ。そういう人は独立すべし。遥さんは、そう言っているのだと受け止めている。